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バーンアウトの構造と日本版 MBI-ESの結果/ストレス文献

2022年3月9日更新

“情緒的消耗感”・“個人的達成感”・“脱人格化”の 3 つの潜在特性を仮定した項目反応モデル

教師を対象にした先行研究
“情緒的消耗感”と“脱人格化”はしばしば明確に分離できないことが問題
日本版 MBI-ES ではこれらに強い正の相関関係があったものの、原版通り異なる潜在特性として区別できる。これは,MBI には原版通り 3 つの因子を想定することが妥当であるという
メタ分析の結果と合致するも(Lee & Ashforth,1996; Worley, Vassar, Wheeler, & Barnes, 2008)。

※メタ分析= 分析の分析を意味する。統計的分析のなされた複数の研究を収集し、いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究法。とくにそれらの文献中に記載された統計量を統計的な手法で統合する分析をメタ分析と呼ぶ。

心理学では、同じ研究課題について数多くの研究がなされることがあるが、同じ研究課題について公表された複数の文献の中から、特定の文献群を第三者にとって再現できるような基準を設けて選択し、その結果を展望することを系統的レビューsystematic reviewとよぶ。
具体的には、複数の文献に記載された
⑴サンプルサイズに影響されない独立変数の従属変数への影響の強さを表わす指標である効果量
⑵用いられた検定方法によって算出されたp値
(1)(2)のいずれかを統計的に統合することが多い。もともと心理学や教育学分野で発達したが、現在では医学研究でも精力的に利用されている。

識別力(Discrimination)=当該項目の正誤と、テスト得点の高低との関連の強さを、各項目について評価した項目分析方法。例えば、識別力が大きい項目では,テスト得点が低い受検者はその項目に誤答し、識別力が小さい項目では,テスト得点は低くてもその項目には正答するということが観察される。

パラメタ【parameter】 =媒介変数、補助変数、母数、引数、設定値などの意味を持つ英単語。

脱人格化=情緒的資源を節約し自らを守る防衛反応を測る項目の困難度が高めがもたらす結果

床効果が生じていることを理由に安易に項目を取り除くことで、尺度自体の妥当性が損なわれかねない。
個人得点として潜在特性値を用いた場合でも、項目得点の和を用いた場合でも、“情緒的消耗感”と“個人的達成感”については,通常の教師集団における平均を中心に概ね広い範囲で信頼性が高かった。
一方、“脱人格化”はかなり重い症状を識別する場合でない限り信頼性は低めであった。同様の結果は,原版の MBIES に項目反応理論を適用した研究でも得られている
(Denton, Chaplin, & Wall, 2013)。

日本版 MBI-ES の妥当性

一般に、バーンアウトの中心的な症状は情緒的消耗感であり、脱人格化や個人的達成感の低下はその副次的な結果である(久保,2004)。
GHQ30と最も強く相関していたのが“情緒的消耗感”であった。

教員用感情労働尺度を、表層演技と深層演技のによる整理

感情表出の操作”と“指導的感情表出”とは、教師が指導場面に合うよう自分の感情表出行動そのものを調整すること。=表層演技
“生徒感情の積極的認知”=深層演技に相当
結果
表層演技を強いられている教師ほど情緒的に消耗しがちであり、仕事に対する有能感や達成感が低くまた脱人格化が進んでいる傾向にある。深層演技が可能な教師は仕事に対する有能感や達成感を高く維持で
きていることを示していると解釈できる。

MBIと“表層演技”や“深層演技”そのものの得点から関係性を検証した先行研究(Brotheridge &Grandey, 2002; Grandey, 2003)で得られた知見と一致

教職のやりがい尺度

先行研究でバーンアウトと関係の深かった職務の内容や職場環境に対する満足に該当=主に“子どもとの関わりと職場環境”“働く内容”の2項目。
日本版 MBI-ES の 3 つの下位尺度は、
“子どもとの関わりと職場環境”および“働く内容”との間に、“対外的な評価”や“労働待遇”に比べて強い相関関係があった。バーンアウトが職場の上司や同僚からのソーシャル・サポートやサービスの受け手との関係に 大きく左右される(Maslach, Schaufeli, &Leiter, 2001)

“個人的達成感”に次いで教職のやりがい尺度と強い関係が見られたのは“脱人格化”。脱人格化が進むことは,児童生徒と温かい人間関係を保とうとする動機が弱くなる

分析の単位や無回答の処理の仕方に結果がほとんど依存しなかったことも、結果の安定性を示している。
日本版 MBI-ES に限らず、心理尺度の妥当性は尺度そのものの属性というよりも,その得点を用いた解釈に対する判断と考えるべきである(村山,2012)。信頼性の分析結果を考慮すれば、バーンアウト症状が相当深刻な教師に実施しない限り、“脱人格化”得点を用いた評価の妥当性は高くない。

教師のバーンアウトを評価するための標準的な尺度である MBI-ESを国内で実施できるように翻訳し、その信頼性と妥当性について検証した。
一般化可能性を保証するためには,新たな標本において検証を続ける必要がある。第二に、日本版 MBI-ES が精神的健康の悪化した教師の早期発見に用いられることを想定すれば、妥当なカットオフ基準を作成する必要がある。
※カットオフcutoff =遮断、切断、切り捨て、中断

※内容をシンプルに明確化するため、敢えて割り切った語尾を使用しております。

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