「心」「カラダ」を支えるけんこう総研ストレスマネジメント 株式会社けんこう総研 - 運動と栄養指導による健康セミナー・健康経営コンサルティング

株式会社けんこう総研

ニュース&トピックスNews & Topics

/ HOME / ニュース&トピックス / ニュース&トピックス

ニュース&トピックス

ストレス研究ノートvol.3

2021年12月31日更新

ストレスについて、整理すると、「ストレスに対処する資源どのくらい備わっているか」がメンタルヘルスにとって重要なことがわかります。

日本は学術研究における「感情労働のストレス」を検討する研究自体が多くありません。
事例
・ CiNii の論文検索で「感情労働」をフリーワード検索してみると、該当する研究はわずかに 19 編(うち査読付論文は 9 編)。
・APA PsychInfo で対処資源「Emotional labor」は 1,700 編以上、査読付論文 (peer-reviewed journals) は 1,100 編以上
事例2
日本は一個人の「対処資源」の全体を捉える研究がほとんど見られず、「対処資源」とされる変数にはさまざまです。
変数=肯定的自動思考、喜びや楽しみ、ソーシャルサポート
事例3
限定的な資源を取り扱い、包括的に捉える研究は少ない。
これらを鑑みて、これまでの日本のストレス研究の動向や傾向、今後の課題や展望を明らかにすることを本研究の目的とする。
注釈
レビュー論文であったものおよび結果変数が精神的健康やストレスとは大きく異なるものを除外。

<結果>対象者、対処資源変数とされる指標、結果変数とされる指標、各研究の結果について各々の特徴と傾向
・対象者
多い順に、高齢者、心疾患者、疾病を持つ者の介護者又はその家族、被雇用者、犯罪者や保護観察下にある者、紛争下にある者、死別を経験した者、既婚者、既婚者と同棲者、移民。
対象者の最低年齢は 14 歳、最高年齢は 95 歳。
<対処資源の指標>
文献全体の75%が、ソーシャルサポートが対処資源の指標として扱われていた。使用尺度は全て CRI であった。
<結果変数とされる指標>
主な結果変数としては、心理的健康(心理的ウェルビーイング)も含めた精神的健康(精神的ウェルビーイング)が 18 編であった。
測定に使用された既存尺度には、CES-D が 2 編、GHQ が 2 編、PERI、HAPS、DASS21、SCL-90-R、SPD、K-SADS P/L それぞれ1編

<身体的健康に関連する測定尺度>
VAF、SF-36、SHC、SRH などがそれぞれ 1 編

項目別に示された結果内容(「結果変数とされる指標」を除く)に基づく考察
<ストレス 対象者>
ライフサイクル上で起こりえる持続的なストレッサーを経験する者をサンプルとした研究が多い。これは、Lazarus & Folkman (1984) が、ストレッサーの持続時間が身体疾病と精神病理の主要な因子であると広く考えられており、継続的・慢性的なストレッサーは心理的にも身体的にも個人を消耗させると言及している。

子どもを対象にしたものはなかった。
Taylor and Stanton (2007) は、子の養育環境は対処資源の獲得を促進するものであり、過酷な初期環境はその獲得を妨げるとし、Repetti ら (2002) もまた家族環境に関連する不十分な対処は、慢性的な心理的苦痛と、成人期の楽観主義、統御感、自尊心、社会的支援などの対処資源の不足に寄与する可能性があると述べている。
これらは今後、個人だけではなく、家族や集団全体の対処資源を検討していく発展性や、対処資源の理論のさまざまな対象への応用の可能性を示唆している。

<対処資源とされる指標>
ソーシャルサポート
個人外の社会的資源、それ以外のものが個人内の認知的・精神的資源などに分類することができる。ソーシャルサポートは、精神的(および身体的)健康との間に有意な相関が示されたり、ネガティブな要因の影響を緩和するといった研究結果がある。対処資源が少ないほど、うつ状態やストレス反応のレベルが高くなり、低いレベルの精神的健康を予測することを示唆した。
Lazarus & Folkman (1984) の認知対処ストレスモデルのように、対処資源が
<関連キーワード>
・対処資源の変数と精神的健康関連の変数
・対処資源と身体的健康、死亡率、人生に対する満足度などを結果変数とした文献も見られた。
これらの文献は、今後対処資源が精神的健康の予測にとどまらず、より多面的・全人的な健康やウェルビーイングへのアセスメントやアプローチを可能とすることをも示唆している。

対処資源の研究に関して興味深い点
それぞれの対処資源が万人にとってその価値を同様に持つものとして扱っている。また、ある個人が特定の資源を持っているか否かの話に終始することが多く、その個人にとってその資源がどういった価値を持つものか(それにより持っていないこと / 減少・喪失したことがどう重みをもつのか)にふれているものは少ない。
Lazarus & Folkman (1984) は「心理的傷つきやすさは、資源の不足だけからではなく、個人のストレッサーへのコミットメントのパターンと、それに対する脅威を受け流すための資源との関係によって決定されるのである」と言及している

資源の欠乏=ストレス「自体が心理的傷つきやすさの十分条件にはなっても必要条件とはならない

心理的ストレスを与えるのは、ストレッサーがその者にとって重要で関心事項だから。そのため、個人の各資源に対する価値を最初に評定させ、重みづけを行った上で、ストレスや精神的健康との関連を検討する研究が今後必要だ。

また、個人がある時点・時期にどの資源をどれくらい持っているかのみならず、個人内の資源の増加・減少と精神的健康を検討する縦断的な研究も必要。
これに関連するのがHobfoll & Lilly (1993) の Conservation OfResources Evaluation(COR-E; 資源保存評価表)です。
<課題と展望>
#文献検索ではすくいきれなかった先行研究のさらなる精査が必要

対処資源と精神的健康の関連が何らかの形で実証されれば、メンタルヘルスのスクリーニングテスト(抑うつなど)では即検出されないが、対処資源の少ない者(ま
たは大きな減少を経験している者)を将来的なリスク有群であるという予測ができる可能性がある。
また、個人内外のさまざまな対処資源を包括的に捉えることで、
#個人の対処資源の全体的なプロフィールを把握する

個人の対処資源は比較的不変であると長い間考えられていたが、そのいくつかはライフコース全体で変化し、心理社会的介入によって変化する可能性があると示唆されている(Antoni et al, 2001)。

ストレスの多い生活環境を経験している個人の中で、たとえば特定のスキルや社会的資源を増補する介入は、個人の特性や認知を変えようとする試みよりも効果的である可能性がある。Taylor & Stanton(2007)

#個人や集団の対処資源の増大のための介入の方法や影響などに特化した文献レビューも、新たな研究・臨床の視点を与えてくれるかもしれない。

感情労働という概念は、さまざまな対象へとつながり、個人や家族、グループ、コミュニティの精神的健康を検討する際に重要である。

参考文献:ストレスと精神的健康研究における「対処資源」の重要性,栗山ら,大阪大学大学院人間科学研究科紀要 47;245-263(2021)


文責:タニカワ久美子
本投稿文は、分かり易くするため、出典を明記しておりません。
文中の引用元又は、参考文献をお知りになりたい方はinfo@kenkou-souken.co.jpにご連絡ください。

夜間・土日祝の無料相談も随時受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。