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感情労働とストレス/ストレスストレス研究ノートvol.10

2022年1月8日更新

感情労働と職業ストレスの関連性

BJSQにより関連性を示唆。

2015年に開始された職業性ストレス調査票には、感情労働に関する項目はない。

Keywords:#感情労働 #ストレス #職業性ストレス簡易調査票 #ストレスチェック制度

1・日本で汎用されている感情労働の測定尺度・感情的不協和の測定が可能な代表的尺度Frankfurt Emotion Work Scales(FEWS)Zapf et al.作成
2・日本語版の感情労働尺度が荻野ら作成
3・看護師の職務特性に応じた尺度として、片山らによって作成された表層演技と深層演技が測定可能な
4・看護師の感情労測定尺度(Emotional LaborInventory for Nurses: ELIN
5・コールセンターにおける感情労働的行動尺度は、石川作成

しかし3.4.5は、使用できる職種が限定される。

6.Brotheridge & LeeのtheEmotional Labour Scale(ELS)を和訳した感情労働尺度日本語版(Emotional Labour Scales Japaneseversion:ELS-J)が関谷ら作成されたが、まだ作成されたばかりで引用研究はみられていない。

職業性ストレス簡易調査票(the Brief JobStress Questionnaire:以下BJSQ)は、平成11(1999)年度労働省「作業関連疾患の予防に関する研究」において、日本の職業性ストレス集団的評価のため作成された。
現行の調査票には、感情労働に関する項目はない。

日本国内先行研究における感情労働と職業性ストレス関連の状況

2019年4月時点
CiNiiを検索エンジンで抽出された文献は458編で、対象者が明確な文献の職(業)種
1位 看護師78編
2位 ケースワーカーや福祉職員、看護師、保健師、保育士を含む対人援助職14編
3位介護福祉士を含む介護職13編
全体の7割が保健医療福祉職種
他、飲食店員やコールセンター職員など18職種

感情労働が及ぼす心身への影響について検討している文献の分類

1位 バーンアウト51編
2位 ストレス39編
3位 疲労(感)19編
4位 メンタルヘルス17編
5位 職務満足度13編
6位 抑うつ3編
ストレスで分類された39編の論文のうち、感情労働尺度とBJSQの双方を用いた調査を行った研究は、3編。

これからの課題

BJSQにおいて労働者の職業ストレスの特徴からの対応業務に対するストレス対応を検討するうえで、海外のストレス調査に用いられている仕事の負担の構成要素のひとつとして「感情的負担」としての考慮による修正が行われていたことから、感情労働について着目されており、ストレス反応と感情労働との関連性は、重要視されていることは明確。

しかし、感情という用語が情緒に変更され、「情緒的負担」となっているが、これは、海外の概念の翻訳上の意図とバーンアウト尺度における「情緒的消耗」との関連が考えられる。

バーンアウトの主要な概念である情緒的消耗感と感情の不協和は正の相関を示す傾向にあることから、労働者に心理的ストレスをもたらすと考えられている。

<情緒的負担の項目3項目>
感情労働の表層演技や深層演技といった尺度には当てはまらない。
感情労働による頻度や強さを明確にする内容であり、感情の消耗度につながるものである。
感情の不協和≒感情の消耗=心理的ストレス
イライラ感・不安感・抑うつ

これまで日本は、顧客満足度を高めることについて労働者が意識し適切な姿勢を表現することは当然の業務として感情規制を強いてきた経緯がある。
感情労働がストレス要因となることが明確化されることによって、組織としての意識の変換につなげ、職場環境改善に向けて取り組まれることがストレスチェック制度の目的

1次予防として労働者自身も自身の感情労働の状況を理解してコーピングスキルを獲得できるようなセルフケア研修への取り組みが必要になってくる。

新版調査票の使用により職場環境要因をより広い側面から測定し、職場環境改善につなげることで、本来のストレスチェック制度の目標につながるものと思われる。
このように職場のストレス要因を個人のレベルから組織レベルまで包括的に評価できる調査票として開発された。現行のストレスチェックでは、職種上や組織の特性を反映できていないという課題がある。

引用元:職業性ストレス調査票におけるストレス特性としての感情労働に関する再考:松本泉,畿央大学紀要16-2,2019
文責:タニカワ久美子
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