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ストレス研究memo

呼吸コントロールはストレスケアの有効な手段

2023年6月25日更新

呼吸は究極の運動

呼吸は、私たちが空気を吸い込む「吸息」動作と、肺から体外へ空気を出す「呼息」動作の二つから成り立っています。この一連の動作を「換気運動」または「呼吸運動」と呼びます。

脳にある呼吸中枢

呼吸を制御する「呼吸中枢」は、脳の特定の部分にあります。呼吸中枢は、吸息と呼息のリズムを決定します。呼吸中枢は、体内の化学物質を感じ取るセンサーや肺の伸縮を感じ取るセンサーからの信号を受け取り、これに基づいて呼吸の頻度を調節します。

呼吸中枢は、筋肉や腱、関節からの信号や、さらに高次の脳機能からの指令も受けています。このため、呼吸は、自分の意識でコントロールできる一方で、無意識下でも自動的に続けられる特性を持っています。

呼吸の速度・深さ・不安定性は自律神経の活動しだい

呼吸中枢は、内部環境や外部環境のさまざまな刺激に影響を受けます。
(例
・ストレスや感情の変化は呼吸のリズムを変える
・交感神経系が活動すると、呼吸は速く規則的になる
・副交感神経系が活動すると、呼吸数が下がる。つまり、呼吸の速度や深さ、不安定性は自律神経の活動を反映しています。

呼吸の測定と分析について

1) 呼吸ガス分析:
呼吸ガス分析は、マスクをつけて吸った空気の量(換気量)を測定する方法です。呼吸ガス分析により、酸素の消費量や二酸化炭素の排出量を確認することができます。ただし、マスクをつけることがストレスになる場合もあり、これが結果に影響を与える可能性があります。

(2) 呼吸波形と換気量推定:
呼吸を簡単に測定する方法としては、
・体の周囲の大きさの変化を測る方法
・鼻に取り付けたセンサーで呼吸による温度変化を測る方法
ただし、これらの方法は正確な換気量を測定するためにはまだ改善の余地があります。

(3) 呼吸波形から得られる情報:
呼吸のパターンからは、呼吸の速さ、深さ、リズムなど多くの情報を得ることができます。
呼吸パターンは、リラックスしている時や注意を集中する時、単調な作業をする時など、その人の状態により変化します。

さらに、各呼吸サイクルから、呼吸の深さや速さ、一息つく時間などの情報を抽出し、これらをストレスの指標とする研究も行われています。
(例)
・吸い込みの強さ=ストレスレベルの増加を示す
吸い込みと休息の間隔・一息つく時間=非常に強いストレスに対しての反応
これらの情報は個人や状況により異なる反応を示すこともあります。

(4)呼吸曲線の周波数解析による呼吸数
呼吸曲線の周波数解析は、呼吸の簡単な評価方法があります。周波数解析の結果から呼吸のピーク周波数(PF)、PFのスペクトル振幅の半値幅の範囲内での重心位置の周波数(呼吸重心周波数、GF)、そしてGFとPFの差の絶対値|GF-PF|を求めることです。PFとGFはどちらも呼吸数を反映しています。
規則的な呼吸では、PF(呼吸のピーク周波数)≒ GF(呼吸重心周波数)
不規則な呼吸ではPFとGFは異なります。そのため、呼吸の特性をより反映するのはPFよりもGFで、|GF-PF|は呼吸の不安定さを表す指標として使えます。

(5)その他の呼吸測定方法
軽い負担で呼吸を測る方法として、
・マイクロ波レーダーを使った非接触モニタリングや接触箇所の圧力変化、
・Kinectなどの距離センサ
を使用する方法があります。これらは寝ている時などの測定に便利ですが、体の動きや振動の影響を受けやすく、環境条件によっては振動成分の分離が必要な場合もあります。

呼吸を指標とする場合の注意点

呼吸の人間工学的応用事例
RSAは呼吸周期に依存するため、RSA分析には呼吸周期の把握が必要です。自律神経活動を理解するためには、心拍調節系、呼吸調節系、血圧調節系の3つの非線形システムの相互作用を理解することが重要とされています。今後は、RSA分析と呼吸分析を同時に行う研究が主流になると考えられています。

近年、睡眠時無呼吸症が社会的な問題となっており、この病気の患者の呼吸を非拘束、あるいは軽負荷状態でモニタリングする需要が高まっています。また、ストレス時における不規則呼吸の増加や、微細な神経系の障害が発症した際の呼吸周波数の低下などが報告されています。呼吸コントロールが自律神経活動に及ぼす影響はよく知られており、これはバイオフィードバックなどの方法に利用されています。

呼吸コントロールは、ストレスケアに良い影響を与える

呼吸コントロールは、ストレスケアに非常に有益な役割を果たします。自律神経活動と密接に関連している呼吸は、ストレス反応や神経系の微細な障害を表す重要な評価測定にもなります。特に、呼吸の非拘束や軽負荷状態でのモニタリングは、睡眠時無呼吸症などの疾患の診断や管理における重要なツールとなり得ます。

呼吸コントロールは、自律神経活動に影響を与える能力が認識されており、バイオフィードバックのような方法でストレス管理に役立てることができます。このように、理解と適切な利用により、呼吸コントロールはストレスケアの有効な手段となります。

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