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ストレス研究memo

ウェアラブルデバイスを用いたストレス検出/ストレス研究memo

2023年5月8日更新

ウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出の最新の研究と進歩についてまとめます。

痛みは、個々の体験であるため、痛みによる客観的評価測定は困難です。そのため、ウェアラブルデバイスを用いると、心拍数や血圧、筋電図 (EMG) などの生体信号を収集し、痛みの程度を客観的に測定することができます。ストレスは痛みと同様に主観的な体験です。とくに、慢性ストレスは健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、客観的な検出が重要となってきます。客観的ストレスの指標として、心拍数変動 (HRV)、皮膚導電性、コルチゾールレベルなどがあります。

ウェアラブルデバイスとは何?

ウェアラブルセンサーとデバイスは、様々なタイプが今、流通しています。ウエアラブルデバイスの代表的なものとして、心拍数モニター、スマートウォッチ、スマートリング、スマートテキスタイルなどがあります。これらのデバイスは、痛みやストレスの検出に役立つデータをリアルタイムで提供します。

痛みとストレスの検出手法には、機械学習やディープラーニングを活用したアルゴリズムが使用されます。これらのアルゴリズムは、生体信号の特徴量抽出や分類に役立ち、痛みやストレスの程度を評価します。このようなアプローチは、ウェアラブルデバイスを活用した痛みやストレス管理において有望です。

ウェアラブルデバイスの課題

ただし、ウェアラブルセンサーとデバイスの利用には課題もあります。データのプライバシーやセキュリティ、デバイスの正確性や信頼性、個人差の考慮などが懸念されます。また、臨床環境での適用には、標準やガイドラインの整備が必要です。研究者や開発者は、これらの課題を克服するために努力を続けており、ウェアラブルデバイスの性能向上や新たなアプローチが開発されることが期待されます。

ウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出方法

ウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出方法は、生体信号や生理学的指標を測定することに基づいています。以下に、具体的な方法をいくつかご紹介します。

1.心拍数変動 (HRV)
ストレスレベルは、心拍数変動を測定することで評価できます。心拍数モニターやスマートウォッチを用いて、連続的に心拍数を測定し、HRVデータを解析してストレスを判定します。

2.皮膚導電性
ストレス反応に伴い、皮膚の導電性が変化します。ウェアラブルデバイスに搭載された導電性センサーを用いて、皮膚導電性を測定し、ストレスの有無を判断します。

3.筋電図 (EMG)
痛みの評価には、筋電図が使用されることがあります。筋肉の活動を測定することで、痛みに関連する筋肉の緊張やリラクゼーションを評価できます。ウェアラブルEMGセンサーを筋肉に取り付け、筋電図データを収集し、痛みの程度を推定します。

4.心拍数と血圧
痛みやストレスの影響は、心拍数や血圧の変化として現れることがあります。スマートウォッチやスマートリングなどのウェアラブルデバイスで心拍数や血圧をリアルタイムで測定し、異常値を検出することで痛みやストレスの検出が可能です。

5.コルチゾールレベル
ストレスホルモンであるコルチゾールは、唾液中で測定可能です。ウェアラブル唾液センサーを用いて、リアルタイムでコルチゾールレベルを測定し、ストレスレベルを評価します。
これらのウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出方法は、個々の状況に応じて組み合わせることができ、より正確な評価が可能になります。また、機械学習やディープラーニングアルゴリリズムを活用して、測定された生体信号や生理学的指標から痛みやストレスの程度を評価することができます。これらのアルゴリズムは、特徴量抽出や分類タスクに役立ち、ウェアラブルデバイスを活用した痛みやストレス管理に有望です。

例えば、複数の生体信号を組み合わせて痛みやストレスの評価を行うマルチモーダルアプローチがあります。心拍数、血圧、筋電図、皮膚導電性などの複数の指標を同時に測定し、機械学習アルゴリズムを用いて痛みやストレスの程度を推定することができます。このようなアプローチは、個々の指標だけでは得られない情報を得ることができ、より正確な評価が期待できます。

また、ウェアラブルデバイスを用いた痛みやストレス検出は、個人の生活環境や日常生活における状況把握にも役立ちます。例えば、痛みやストレスのトリガーとなる要因を特定し、それらを回避することで、痛みやストレスの予防や軽減が可能になります。

さらに、ウェアラブルデバイスによるリアルタイムの痛みやストレス検出は、個人が自身の体調や状態を把握し、自己管理を向上させることができます。痛みやストレスの検出が容易になれば、適切なタイミングでリラクゼーションやストレッチ、瞑想などのストレス緩和法を行うことができ、生活の質の向上に寄与します。

総じて、ウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出方法は、個人の健康管理や疼痛管理、ストレス緩和に有望であり、今後の技術進歩によりさらなる改善が期待されます。
今後の展望として、ウェアラブルデバイスの痛みやストレス検出技術は、個人の健康管理や疼痛管理、ストレス緩和に寄与することが期待されます。また、医療従事者が患者の状態をリアルタイムで把握し、より効果的な治療法を提案することが可能となります。さらに、痛みやストレスの予測や予防にも役立つ可能性があり、生活の質の向上につながるでしょう。

このレビューでは、ウェアラブルセンサーとデバイスを用いた痛みとストレス検出の研究が紹介されています。現在の技術や手法には課題も存在しますが、今後の技術進歩により、より効果的で信頼性のある痛みやストレス管理が実現されることが期待されます。これにより、個人の健康管理や医療の質が向上し、生活の質の向上に貢献することができるでしょう。
出典:Jerry Chen, Maysam Abbod,Jiann-Shing ShiehPain and Stress Detection Using Wearable Sensors and Devices—A Review,Sensors 2021, 21(4)

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