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ストレス研究memo

ストレスが防御システムに与える影響/ストレス研究memo

2023年5月8日更新

ストレスが防御システムに与える影響

ストレスは、免疫システムや防御システムに様々な影響を与えます。ドリン・ドラゴス1とマリア・ダニエラ・タナセスクが行った研究では、ストレスが生物の防御システムにどのような影響を与えるかが調査されています。

ストレスは、内分泌系や神経系を刺激し、ホルモンのバランスを変化させます。これによって、免疫システムが正常に機能しなくなり、感染症や炎症のリスクが増えます。また、ストレスが続くと、細胞の老化が早まり、自然免疫システムが弱まることが示されています。

研究では、ストレスの影響によって、免疫細胞の機能が低下し、細胞性免疫応答やヒト白血球抗原(HLA)表現の変化が見られることが分かりました。これは、ストレスが免疫システムに悪影響を与え、病気に対する抵抗力が低下することを示唆しています。

ストレス管理やリラクセーション技法の習得が、免疫システムを強化し、ストレスによる影響を軽減することができるとされています。今後の研究で、より具体的なストレス軽減策が開発されることが期待されています。
出典:The effect of stress on the defense systems,Dorin Dragoş,Maria Daniela Tănăsescu,journal of medicine and life,2010 Jan-Mar;3(1):10-8.

ストレス誘発性フェノプトーシス:メカニズムの洞察と進化的意義

本研究では、ストレス誘発性フェノプトーシス(プログラムされた細胞死)のメカニズムと進化の意義について説明しています。フェノプトーシスは、個体の生存と繁殖に悪影響を与える可能性がある状況下での細胞死のプログラムです。ストレスによって引き起こされるフェノプトーシスは、生物の適応と進化に重要な役割を果たしています。

ストレス誘発性フェノプトーシスのメカニズムについて

ストレスが、細胞内の様々な分子プロセスに影響を与え、酸化ストレスや代謝ストレスなどの形で細胞にダメージを与えることがわかりました。また、ストレスが細胞内でのカルシウムの恒常性を破壊し、アポトーシス(自然細胞死)やオートファジー(自己分解)といったプログラムされた細胞死の進行を促進することも明らかになりました。

進化的意義については、ストレス誘発性フェノプトーシスは、生物の適応力を高め、個体群の遺伝的多様性を維持する役割を果たしています。フェノプトーシスが発生することで、より適応力の高い個体が生き残り、繁殖する可能性が高まり、個体群の適応能力が向上します。また、フェノプトーシスは、遺伝子の横断的な伝播を促進することで、遺伝的多様性の維持に貢献しています。

慢性疾患において、ストレス誘発性フェノプトーシスは病態の進行や悪化に関与していることが示されています。神経変性疾患では、細胞ストレスが神経細胞のアポトーシスやオートファジーを引き起こし、機能の喪失や疾患の進行につながります。がんにおいては、ストレスが細胞のプログラムされた死を阻害し、がん細胞の増殖と転移を促進することがあります。糖尿病では、ストレスがインスリン産生細胞の機能を低下させ、病態の悪化に寄与しています。

また、ストレス誘発性フェノプトーシスは、加齢と関連しています。加齢による細胞の機能低下や損傷が、フェノプトーシスの進行を促進し、老化現象や加齢性疾患の発症に寄与すると考えられています。

この研究は、ストレス誘発性フェノプトーシスのメカニズムや進化的意義について新たな理解を提供し、疾患の予防や治療への応用が期待されています。今後は、ストレス誘発性フェノプトーシスの制御方法や、ストレス軽減策の開発が、慢性疾患や加齢性疾患の予防や治療に役立つことが期待されています。ストレスの軽減や管理により、フェノプトーシスの発生を抑えることで、疾患の進行を遅らせるか、あるいは防ぐことが可能になるかもしれません。この分野の研究が進むことで、人々の健康や寿命の向上に寄与することが期待されています。

出典: Taruna Pandey,Dengke K Ma,Stress-Induced Phenoptosis: Mechanistic Insights and Evolutionary,Biochemistry,2022 Dec;87(12):1504-1511.

まとめ

ストレスは、免疫システムや防御システムに悪影響を与え、病気への抵抗力が低下します。ストレス管理やリラクセーション技法により、免疫システムを強化し、ストレスからの悪影響を軽減しましょう。一方、ストレス誘発性フェノプトーシスは進化的意義があり、生物の適応力を高めますが、慢性疾患や加齢にも関連しています。今後、ストレス軽減策の開発が、疾患予防や治療に役立つことが期待されています。

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