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ストレス研究memo

多くの職業が感情労働化している勤務 /ストレス研究memo

2023年1月23日更新

感情労働の職業といえば、サービス業を指しました。けれども「おもてなし」や「ホスピテリティ」が過剰に尊重されるようになってからあらゆる職業が感情労働がひつようになってきています。今日は、山口和代氏らが発表した”働く人をめぐる感情労働とその影響要因”感情労働化している社会を覗いてみましょう。

過剰な「お客様扱い」を要求されるようになった感情労働職

これまで「おもてなし」がサービス産業では大切にされてきました。それは日本社会では、お客様と店員が、お互いを気遣うことを前提にしていたものでした。けれども、外交人旅行者が急増し、お客様だけが重視されるサービスという面だけが強調されるようになってしまいました。お客様に対する「おもてなし」の精神を強調しすぎることで、働く人々は応対業務に過剰な「お客様扱い」を要求されるようになりました。

感情労働的な業務は、本来の感情労働職と言われる職種だけではなく、あらゆる職種に広がりを見せています。

「感情労働化する社会」は、働く人々の感情労働への適応スキルが大切な課題です。
働く人々は職種を問わず
1.なぜ感情労働に従事せざるを得なくなっているのか?
2.どのような思いで感情労働に携わっているのか?

ホスピタリティ精神は、平安、室町時代に発祥した茶の湯から始まりました。茶道文化での平等主義、個を尊重し、細心の注意な,相手への敬いをもって誠心誠意もてなすことにあるります。茶道で重視されてきた「もてなす」という行為は、行う側と受ける側があくまで対等な立場で、お互いを大切に思い敬う気持ちがあることで成立するものです。
一方、欧米文化での「ホスピタリティ」に見られる「もてなし」は、ユダヤ・キリスト教の倫理が根底にあり、旅する手段がまったくといってよいほど発達していなかった時代に、危険と隣り合わせになりながら巡礼する異邦人を歓待することを意味した」(古閑,2003,p. 12)といわれています。つまり「ホスピタリティ」とは、保護を必要とする人を癒し、安全に休息できる場を与える自発的な行為といわれています。

本来の意味
おもてなし  =相手と自分が対等の関係性
ホスピテリティ=保護者と庇護者という必ずしも対等とは言えない関係性

現在
「ホスピタリティ」は、接客にあたる人の表現・表情・態度などの人的態度を重要視します。
ビジネス上の「サービス」=経営者と従業員・客と接客にあたる人との間にある主従関係・上下関係のもとでの、利益のために行われる行為を指します。

茶道で大切にされてきた「おもてなし」は、近年、もてなされる側だけが重視され、お客様に対するサービスという面だけが強調されるようになり、客と接客にあたる人の間に上下関係を生じさせてきています。「ホスピタリティ」という言葉が注目されるようになった 1990 年代から(岸田,2012)、顧客満足度という概念が日本のビジネス社会に取り入れられはじめました。お客様に対する「おもてなし」の精神を強調しすぎることで、働く人々は応対業務を行う際に、過剰な「お客様扱い」を要求されるようになりました。サービス業は、これまで以上に感情労働的な業務が課せられることが多くなってきています。私たち日本人は「個」として生きているのではなく、たえず相手の心の動きを配慮しながら空気を読んで働いています。「おもてなし」の精神を強調しすぎることで、従業員に過剰な「お客様扱い」を無理強いをしてしまい、かえって「おもてなし」が十分にできなくなってしまうという事例もあります。

日本では歌手の三波春夫が使ったとされるフレーズ「お客様は神様です」は流行しました。「お客様は神様」という部分が独り歩きし、顧客を対象としたビジネスで多用されています。この「お客様は神様です」がもてなされる側だけに都合よく使われることで、「モンスターカスタマー」と言われる客が、商品やサービスの提供者に対して理不尽な要求や文句を浴びせる行為が増えています。

このような背景のもと、ホックシールド博士Hochschild(1983)により提唱された「感情労働」という概念は、日本においてはあらゆる職種で取り入れられているようになりました。

本来の感情労働職であるサービス業で働く人たちだけでなく、感情労働職に属さないと見なされてきた職種で働くる職業の人々も、令和社会において感情労働は重要なスキルとなってきています。反面、感情労働によって高ストレスを受けやすくもなります。そのため「従業員のストレスケア」は、経営・管理者にとって重要なリスクマネジメント対策として実施しなくてはならない状況になっています。

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