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ストレス研究memo

ストレス研究における注意辞典Vol.92

2024年6月27日更新

こんにちは、けんこう総研代表のタニカワ久美子です。今回は、「タニカワ久美子のストレス研究用語Vol.92」と題して、研究論文において注意すべき3つの重要な概念、「ハーキング」「羅生門効果」「ハルシネーション」について解説いたします。

最新の学術論文調査をする白衣の女性

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ハーキング(HARKing)

まず初めに、「ハーキング」についてご紹介します。HARKingとは、「Hypothesizing After the Results are Known」の略で、結果が出た後に仮説を立てることを指します。これは、研究者がデータを分析した後に、その結果に基づいて新たな仮説を作り出す行為であり、科学的な手法としては不適切とされています。ハーキングは、研究の信頼性や再現性に重大な影響を与えるため、厳格に避けるべきです。

羅生門効果(Rashomon Effect)

次に、「羅生門効果」についてです。これは、同じ出来事に対して異なる人々が異なる解釈をする現象を指します。羅生門効果は、研究においても異なる解釈が生じる可能性があるため、データの解釈や結果の報告において注意が必要です。特に、質的研究においては、この効果を考慮して多角的な視点からデータを分析することが重要です。

ハルシネーション(Hallucination)

ハルシネーションは、本来は医学用語で、実際には存在しない感覚や知覚を経験することを指します。しかし、AIや機械学習の分野でも同様の概念が存在し、特に生成系モデルや自然言語処理において重要な問題となっています。

AIにおけるハルシネーション問題

AIにおけるハルシネーションとは、AIモデルが現実に存在しない情報や誤った情報を生成したり出力したりする現象を指します。これは、特に生成系AI(例えば、GPTシリーズの言語モデルや画像生成AI)においてよく見られます。以下に、その具体例と原因を説明します。

具体例

1. 言語生成モデル
文章生成AIが、事実に基づかない情報を含む文章を生成することがあります。例えば、実在しない人物名や架空の出来事を含む文章を作成する場合です。

2. 画像生成モデル
画像生成AIが、実際には存在しない物体や風景を描いた画像を生成することがあります。これには、現実には存在しない動物や風景の描写が含まれることがあります。

原因

1. データの偏り
学習データに偏りがあると、AIはその偏った情報に基づいて誤った出力を生成する可能性が高まります。例えば、十分なデータがない場合、モデルは見当違いの情報を補完しようとすることがあります。

2. モデルの限界
現在のAIモデルは、データを基にしたパターン認識に依存しています。そのため、未知の状況や学習データに存在しない事象に対しては、正確な出力を生成することが難しいです。

3. 生成のプロセス
特に生成系モデルは、確率的な方法で出力を生成するため、確率的にあり得るが実際には存在しない出力が生じることがあります。

対策と注意点

AIにおけるハルシネーションを防ぐためには、いくつかの対策があります。

1. 高品質なデータの使用
学習データの質を高め、偏りをなくすことで、モデルの精度を向上させることができます。

2. モデルの検証と評価
モデルの出力を慎重に検証し、誤った情報を識別するプロセスを確立することが重要です。

3. ユーザーの教育
AIの限界を理解し、出力された情報を鵜呑みにせず、適切に評価するユーザーの教育も必要です。

以上、今回は研究論文において注意すべき「ハーキング」「羅生門効果」「ハルシネーション」について解説しました。これらの概念を理解して、適切に対処することで、より信頼性の高い研究をタニカワも進めてまいります。

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