冬はお正月の箱根駅伝に始まりマラソンシーズンですね。マラソンに因んで今日は、
脳内麻薬と呼ばれる「エンドルフィン」についてお話します。
脳内麻薬「ランナーズハイ」は、エンドルフィンのいたずら
マラソンと脳内麻薬の何が関係あるのかって?まあまあそう焦らずに。読者の皆さんは「ランナーズハイ」と言うコトバを聞いたことがありますか?
アメリカの神経科学者が脳にモルヒネのような受容体(じゅようたい、receptor)があることを発見しました。受容体とは生物学用語で、体内・外からの刺激を受け取ると情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のことで、何のこっちゃあ~って妄想すらできませんね。まあわかりやすく例えるとしたら、どんぐりの「帽子」部分だと思ってくださればイメージがつかめるかもしれません。
エンドルフィンは、私たちの身体に癌の鎮痛剤として使われているモルヒネ(麻薬)のように痛みを抑えるしくみがあり、幸せな気持ちにさせることがわかっています。
そして驚くことに、マラソン選手達の血液を調べたらエンドルフィンが増加していました。有酸素運動をすると、モルヒネを注射したかのように多幸感をにつつまれた気分を味わった経験はありますか?私は残念ながらないのですが、フルマラソンのように「きつくて、苦しさ」のピークに達すると瞬間、頑張っている自分に陶酔する「ランナーズハイ」状態になり苦しさもきつさも感じなくなるそうです。
エンドルフィンは、実はメンタルヘルス(心の健康)に良くない
エンドルフィンは俗に言うストレスホルモンです。正確に言うと、エンドルフィンは高ストレスをかける神経伝達物質。癌の鎮痛剤と同じ働きです。鎮痛剤は癌の痛みをマスキングするけど癌自体に働きかけているのはないのですから。エンドルフィンも「苦しい~」と訴えている脳を落ち着かせて、悲鳴を上げている筋肉の痛みを抑えてくれます。身体能力の限界を超えても走らせてくれるエンドルフィン効果は凄いです。
エンドルフィンは、確かにマラソンで得られる達成感に寄与しています。しかしマラソンではなく仕事でエンドルフィンが分泌するとメンタルヘルスが崩れやすくなるので要注意です。
例えば、仕事で徹夜明けです。 仕事がなんとか朝まで間に合った!コーヒーを飲んで迎えた朝は頭もまだ冴えています。一晩くらい寝なくても今日も仕事出来そう、と思ったらそれはエンドルフィンの仕業です。午後には、どんなに若く体力に自信があったとしても脳はまったく機能していないはず。
こんな時に事故やミスが起きる時はこんな時です。「エンドルフィン」て名前からして美しい顔した小悪魔のようですよね。
一時的な高揚感や達成感、満足感は、ジェットコースターのようです。甘美なひと時が過ぎると、メンタルだけでなく身体の不調を招きやすくなります。
今日の一言、無理は禁物。小悪魔注意で過ごしましょう。




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