猛暑日がつづいています。こんにちはけんこう総研のタニカワです。先週日本アルプス白馬岳に視察研修登山をしてきました。ようやく教科書執筆作も終盤にさしかかり、精神的にも余裕がでてきたので。メルマガも不定期配信から毎週月曜日配信の正常モードになっています。
私のコラムの中で、一番関心を持ってご覧になるのが、登山での素朴な疑問にタニカワ自らが答える形式の「登山では決して痩せない理由」です。メルマガは、アメーバブログが発端でかれこれ断続的に10年書いています。この記事の中で、ダントツで検索キーワードからの訪問者が多いのも「登山では痩せない理由」です
ザックを背負って山を上るなんて、誰がどう考えても運動強度は高いし痩せそうですよね。しかし、セミプロ(?!)登山家タニカワの実体験からはっきり断言してもよいでしょう。痩せません!
理由は、激しくエネルギーを消費する運動は、無酸素エネルギーが使われるからです。
エネルギーを消費する、つまり消費エネルギー(カロリー)には、無酸素エネルギーと有酸素エネルギーの2種類があります。
無酸素エネルギーは、食事からの栄養素を、酸素なしでエネルギーに換えて燃やします。その栄養素は、糖質でだす。糖質は、爆発的なエネルギーを出せますが、長続きしないのが欠点です。みなさんは、『無酸素運動』というコトバ、知っていますよね。
そう『筋トレ』のことです。筋トレは、マラソンのように1時間も2時間もできません。
それは無酸素エネルギーを使っているからです。険しい山登りも、筋トレと同じ無酸素運動しながら有酸素運動をしていることになります。
筋トレはどんなに長く、トレーニングしても30~40分程度だと思います。それ以上やっても、フォームは崩れ、ただ根性でしているだけ。パフォーマンスは上がりません。
一方、山登りは30~40分でやめてしまったら山頂に着けませんよね。そのために、『行動食』といって、飴やカロリーメイト、おにぎり、チョコ・・・などといった糖質を、補給しながら登ります。糖質補給しないと、気力は十二分にあっても、突然電池切れになったように登れなくなってしまい遭難・・・といった危険と隣り合わせなのです。ダイエットのために山登りをしたいのなら、あまり体力を使わない、言い換えると、無酸素エネルギーを必要としないピクニックをおススメします。
ちなみに、有酸素エネルギーは、文字通り酸素をつかってエネルギーを燃やします。
この場合のエネルギーになる栄養素は脂質です。
そうなの。ですから有酸素運動はダイエットには最適です。はい、この有酸素エネルギーにも欠点があります。脂質は、糖質とちがって、火力が弱いんですよ。炎で例えたら、風前の灯火といったチョロチョロ燃えるマッチの火といったところでしょうか。
でもこの“脂質マッチ“は長時間、燃えてくれます。ですからウォーキングは、何時間も歩けます。
これが登山では痩せない理由の答えの一つです。
山は、天候がかわりやすいのが特徴です。ピクニック向きの低山でもひとたび道に迷ったり、天候が悪化すると、遭難したり低体温になり命の危険にさらされます。そのためにも糖質の補給は欠かせません。
「私、脂肪があるから大丈夫」なんて安易に考えないでくださいね。脂(あぶら)は、着火剤となる芯(糖質)がないと燃えません。だから糖質ゼロダイエットは、ありえないのです。
長くなりました。登山のことになると熱弁しちゃうタニカワです(笑)
今日も朝から既に暑い関東。屋外も屋内も熱中症対策を怠りなくお過ごしください。
参考図書
岸恭一ら:栄養科学シリーズNEXT運動生理学,講談社,1999




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