「タニカワ先生、健康経営が進めば進むほど大事になることってありますか?」
2月の雪が降りそうな寒い某日にけんこう総研のオフィスにお出でになった顧問先の健保組合の方からのご質問です。
健康経営の具体策として、自分は会社の健康推進を担当しているけれど、健康知識を社内へのインフォメーションの量だけで仕事をするものなのだろうか?確かに健康知識や健康情報を広く通知するのは大切です。けれども本当にやっていただきたいのは、その健康知識量をベースにしてどんなインプリケーションを引っ張り出してきて、自分ならその健康情報に対してどうジャッジして会社に反映させるかが、健康推進を担当している方の業務ではないでしょうか。
他社よりも、他者よりも健康推進ジャッジメントが上手ければ健康経営は成功する
この健康ジャッジメントに関しては、人事部や総務部だけのことではありません。職場で働く人達も健康に関心をもちそれをインフォメーションすることで、
「誰も関心を示さなかった」「へえ~と私の健康情報を聞いてくれた」といった経験を積むことで優れた健康リーダーが育成されてきます。
優れた健康リーダーになるには
面白いことに、健康情報ジャッジメントの力は、専門職のほうが高いというものではありません。産業保健師や心理カウンセラーだからといって正しいジャッジメントができるかというと、別にそんなことはないのです。ジャッジメントの能力は、専門知識があるにこした事はありませんが、メンタルヘルスなどの健康に関する専門知識以外に自社の業務体制にもあった健康センスや勘を働かせられるかが必要です。そうした健康に万連する総合力としてのジャッジメントの力が問われてきます。
健康経営が進めば進むほど大事になるのは、健康総合力
少子高齢化が加速している今の時代、健康へのリスクとリターンの関係は益々はっきりしていきます。経営者だけでなく、人事、総務の健康リーダーは、メディアからの健康情報だけでなく、自社の現場にもっとセンサーを働かせ、職場の声を根こそぎ拾わなければなりません。あれっ、このセリフどこかで聞いたセリフですね(笑)
健康リーダーは、職場の声を根こそぎ拾い健康経営に反映させましょう
このように職場と健康経営がどう連関していくか、基本的な健康経営の考え方が改めて重要になってきます。私、タニカワと顧問契約を結ばれている企業様とのコンサルティングでは、こうした健康経営学の基本理論を縷縷(るる)ご説明させていただいております。健康経営を具体的に推進するには、健康知識量だけで実施する時代ではないということがお分かりになったでしょうか。医療系の専門職にありがちな教科書的にではなく、具体的な事例に即して実践的に進めていくことに留意して取り組みましょう。
健康経営は、具体的な事例に即して実践的に進めていくことに留意しましょう。
つまりどのような健康経営論も、全て『道具』にすぎません。道具は使う自由もあれば使わない自由もあります。「私はこの道具は使うけど、この道具は使わない。」と言ったことをふくめてひとり一人が取捨選択すればよいのです。そうして貴殿の『意思決定力』を少しでも強くしていただくことが重要です。
健康推進力となる意思決定力を持っていますか?
とても根本的な問題として、そもそも会社というのはどういう役割を果たしているのでしょうか。当たり前の話ですが、会社というのは、メーカーであれば商品を、サービス業であればサービスを開発し造って売っています。そこで得たお金を再投資し、またサービスや商品を売るのですが、その最初の段階で『ビジネスパーソン』がいなければ始まりません。ビジネスパーソン、つまり働く人がいてこそ商売が始まります。
健康経営は、アイデアがないと始まらない
同時にアイデアがないと、生産性を向上させる健康経営は始まりません。健康経営のアイデアには、こんな取り組みを全社でしたら生産性がアップするのではないかという健康経営アイデアであったり、あるいはここの職場環境を変えてみたら従来の職場より効率的に生産性向上するかもしれないという健康経営アイデアであったり、いろいろです。
人財とアイデアと投入して健康経営を推進していく。結果、この取り組みはまだまだいけそうだから、もっと大きなサイクルで回そうと推進力を強めます。健康経営推進力には、例えば新しい業務導線をつくって生産のキャパシティを増やすといった働き方改革もあれば、新たな健康管理法を社内報に加工といった小さな取り組みを継続させるやり方もあります。
職場の生産性を上げ続けていく『ゴーイング・コンサーン』
健康経営のサイクルをぐるぐる回し続けることによって職場の生産性を上げ続けていく。これを会計用語でいうと『ゴーイング・コンサーン』として長期継続し続けます。職場で働く人のゴーイング・コンサーンをして生産性を上げていくことが、健康リーダーとしての任務であり役割であるのではないでしょうか>
今日も元気に!今日も健やかに!